怖いものなんて何もなかった
高校3年生の夏、携帯電話に残された過去からの留守電メッセージに導かれ、佐倉有海は学校一の問題児・春川と出会い、そして恋に落ちた。親の愛を受けることなく育った有海と春川。似た者同士のような2人の恋には、恐いものなんて何もないと思っていた。明日、地球に隕石が衝突して世界中の人類が滅んで2人きりになったって、困ることは何もないような気がした。無敵になった気分だった。それはあまりにも拙く刹那的で欠陥だらけの恋なのに・・・。やがて、時を越えた留守電が有海の衝撃の過去を浮かび上がらせる。一方、母親にも見捨てられ、学校でも厄介者となり、警察にまで追われる身となってしまう春川。それでも2人は一緒にいれば何かできる、何とかなると思っていたのか・・・。そんな2人には、あまりにも切ない衝撃の結末が待っていた――。